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打ち合わせにスタジオに現れた彩那は目一杯お洒落なスタイルでキメてきた。
「…歌は、どんな歌なの?」
「今から流しますね。」
†††
流れる歌声を聞いて、彩那は驚嘆するばかりだった。
超高音から重低音迄、ちりばめられた、心を揺さ振られる様な、美しくもダイナミックな歌声。
「…琴原さん?」
気付けば彩那は涙を流していた。
感動と失望、両方入り交じった涙。
「凄い…ね?凄すぎだよ…アタシなら絶対歌えない…」
「けれどプロモビデオには是非彩那さんを起用したいんです。」
「すんごい光栄…向こうはアタシの事知ってるの?」
「プロモを見て、彼女が貴女に決めたんですよ。」
「マジでぇ~?」
「一応芸名も決めてあるんですよ。」
「何???」
「彩那美月、です。」
「彼女は美月さん、な訳???」
「そうです。」
「ブスなの?」
「特別ブスな訳じゃないんですが…事情があって…」
「ふぅん…」
彩那は残ったコーヒーをストローで飲み込む。
「解った。最高のプロモ作ろう!!!」
「そうですか???」
「日本一カッコイイ歌手を作ろうよ!!!」
「解りました。撮影衣装とか、場所とかを決めましょう。美月さんからもある程度意見はありますから、彩那さんもどんどん意見出して下さいね!」
プロデューサーは笑顔になった。
†††
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