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プロモはスタジオと自然の中、二つに分けて録られた。
彩那は撮影で美月の曲を流して欲しいとお願いした。
†††
スタジオで扇風機の風に長い髪を靡かせて歌う彩那。
撮影前に歌詞は完璧に覚えてきたから、まるで自分の歌の様に歌った。
振付師が振り付けをつける。
それを忠実かつ彼女らしくこなす。
「カット!!!」
プロデューサーは満足な笑みを浮かべた。
「彩那ちゃん、完璧じゃない!!!本当に君が歌ってるみたいだよ!!!」
「けど美月さんの声ってアタシにちょっと似てますねぇ。」
「ああ…話してる時は似ているかもしれない。身長とかも一緒位だし。」
「アタシも美月さんに会いたいぃ~。」
「美月さんに承諾取れたらね…」
少し目を伏せるプロデューサー。
彩那はそれには気付かなかった。
†††
自然の中、緩やかに優雅に動く彩那は本当に神々しい位に美しかった。
スタッフの誰もが彼女に見とれた。
それ位、美月の歌は彩那の隠れた魅力…美しさを引き出していた。
「カット!!!」
またも一発オッケー。
プロデューサーは心から満足そうだった。
「いけてた???」
「バッチリ!!!彩那ちゃんは美月さんとの歌の相性がいいんだね?」
「本当???目茶苦茶嬉しい!!!」
屈託なく笑顔を見せる彩那を見て、スタッフ皆笑顔になる。
撮影は終わり、軽く乾杯してから解散した。
†††
彩那は嬉しい反面複雑だった。
「こんなに上手いなら不細工でも、ちょっと顔を弄ればいけるじゃん?何でアタシなの???」
けれど反面、歌手として世に出れる事を感謝してもいた。
彩那はコンビニに寄ってから、家路についた。
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