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プロデューサーは彼女の元へ、うやうやしく、プロモのビデオを送る。
彼女は一瞥して、再生する様に指示を出す。
自分の声に乗って、伸びやかに美しく歌う彩那の姿。
思わず美月は見とれた。
美しい。
流石、自分で選んだ人物の事だけある。
美月は不意に涙を零した。
何故、此処に写っているのは彩那で、私ではないのだろう。
ガリガリに痩せ細った腕で、プロモを見て終わった。
美月は泣いていた。
何故、何故に、私は表に現れないのか。
運命を呪った。
†††
けれど、彩那を選んだのは自分なんだ。
唇をきつく噛み締めて、美月は溜息を漏らした。
私はシンガーにはなれない。
シンガーになるには時間がない。
だから…
彩那は私より美しい。
彩那は私よりダイナミックなパフォーマンスを繰り広げられる。
私は無理だ…
プロデューサーにOKを出して溜息をついた。
†††
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