げそ天

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叶ったところで、立場や信頼も失う。お互いに居場所がなくなる。そんな感情に未来はない。 あなたの愛すべきものは私の知るはずもないもので。 君の開けたい箱はパンドラの箱で。 あなたと2人で持ち去りたい。 誰も知らないどこかにいきたい。 夜明けなんか来なくていい。 今このときが嘘にならないで。 語り明かした事すべて。夢にしないで。 このまま朝日が昇り明るくなれば僕の勝ち。 勝利の優越感に潜む後悔。 秘密を明かしたなら 真っ赤な何かが二人を突き刺す ガラスを雨粒が伝う 頬を涙が伝う 叶わなかった願いが一瞬だけ許された。 意外に小さくて、きれいな手だった。 春の始め、グレーの空の冷たい朝。
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