狂おしい程の愛

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10月27日(金)     大学の講義を終え、サークルに顔を出した。 見たことのある何人かの先輩達、その中に最近良く見る元親友の元彼女がいた。 彼女が私と同じサークルだとは知らなかった。驚いた、などと二、三言葉を交わし、私は適当な場所に座った。 先輩達が言うには彼女は、真面目なメンバーらしい。私はまともに来たのが、ヤツの葬式の次の日だけなのだから、知らなかったのも仕方のないことだろう。 今の研究議題は「中世西欧の文化」についてだった。前回話し合っていたテーマ「近代日本の文化」と違い。調べなければほとんど分からないようなことだらけなので、各々色々と調べており、意見を交わしあっていた。 中でも、私が興味深いと思ったのは食人文化についてだ。 処女の肉を食すことで、真に若返り効果があると信じられていたとは、お笑いぐさだ。 人を愛するがゆえに食す。この性癖の事をカニバリズムというらしい。 人を食すとは、一体どのような気分になるものなのだろうか。 私の問いに対してメンバーからは、現代の社会の倫理的、道徳的な返答しかでなかった。   カニバリズムの人々にとってはどうなのだろう。 その人々は、今、私が抱いているような感情を持って、人を食らったのだろうか。
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