紫藤 空

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そんなオレが情けなくて、真緒と並んで歩くことは絶対にしなかった。こんなオレと一緒にいるところを見られたら真緒に迷惑がかかると思ってたのもあるが………。 もちろん、真緒はモテた。先輩後輩など関係なくモテた。 真緒を紹介するために何度オレが呼び出しくらったかも覚えてないくらいの数になる。 その度、オレは真緒に謝りながら、 「ごめん、また頼まれた」 と、言って、いつものだと報告する。その度に、 「空がもうちょい強くなってくれればな~」 と毎度呪文のように呟き、相手のもとに断りに行くのだった。 オレはそれが当たり前の日常になっていて、特に何も思ってなかった。 そんなある日、 担任の柳 陽一(やなぎ よういち)から呼び出しがかかった。柳の専攻は数学だったが、理科実験室に呼びだされた。 今回の数学は完璧だったんだけどなあ………。 と思いながらも、実は解答が一行ヅレてて0点だったとか(笑)、、なんて考えながら理科実験室に向かった。
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