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そんな揚げ足なことを思っていると、出入り口の戸の所で。
「~~いますか?」
誰かが誰かを呼ぶ声。
?
肝心の“誰かを”が聞こえなかったけど。
私はそれほどの関心は持たなかった。
このあとに起こる事に全然気にもせずに。
「おーい、廣川。呼んでるぞー」
………。
「要!何してるのっ。呼ばれてる」
ミキが私の肩を叩く。
何って、あんたが手を動かせって言うから。
看板作ってるんじゃない。
「えっ、私が呼ばれたの。もう一人の廣川さんじゃなくて?」
「そう。要の方。早く行きな!」
立ち上がった私の背中を押す。
ミキの顔は少し笑っている。
というか、このあとに何が起こるのか知っているような顔だ。
「でも、看板作らないと。時間ないんでしょ?」
「大丈夫だよ。もう大分出来てるし」
「………」
何だかさっきと言ってることが矛盾してるし。
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