3/10
1274人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
そんな揚げ足なことを思っていると、出入り口の戸の所で。 「~~いますか?」 誰かが誰かを呼ぶ声。 ? 肝心の“誰かを”が聞こえなかったけど。 私はそれほどの関心は持たなかった。 このあとに起こる事に全然気にもせずに。 「おーい、廣川。呼んでるぞー」 ………。 「要!何してるのっ。呼ばれてる」 ミキが私の肩を叩く。 何って、あんたが手を動かせって言うから。 看板作ってるんじゃない。 「えっ、私が呼ばれたの。もう一人の廣川さんじゃなくて?」 「そう。要の方。早く行きな!」 立ち上がった私の背中を押す。 ミキの顔は少し笑っている。 というか、このあとに何が起こるのか知っているような顔だ。 「でも、看板作らないと。時間ないんでしょ?」 「大丈夫だよ。もう大分出来てるし」 「………」 何だかさっきと言ってることが矛盾してるし。 .
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!