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「NO.301~NO.332まで、全てのドールによる実験は失敗です」
くいっとズレた眼鏡を持ち上げ、いかにもドクターといった感じの白衣を着た男は、手に持った紙をペラペラとめくりながら隣に居る男に言った。
次の瞬間には溜め息をこぼし、目の前のガラス越しに見えるドール達を見下ろしながらまた口を開く。
「このドール………いゃ、この実験体達ではもぅ無理でしょう。一部では“アレ”が暴走する実験体まで出てきていると報告を受けています。これ以上続けるのは我々が危険な為、この実験体達は処分しましょう……?」
そう言うと、隣に居る男にさっきまでペラペラとめくっていた書類を渡した。
その書類にはNO.301~NO.332の今まで大切に保管してきた実験記録と彼等のデータ。
男はその書類に目を通し、しかしそれをゴミ箱に投げ入れる。
ゴミ箱に一度入った書類は、二度と拾われる事も必要とされる事もない。
つまりそれは、死を意味する事。
「また使えない子供達だったな。アレに適合した数少ない子供達だというのに、何がいけないのだ……?君は…希里亜(キリア)くんはこれをどう思う?」
男は眉間にしわを寄せ、ドール達を見ながら目を細めた。瞳と髪は真っ黒で、右目の下にはホクロがある。
名は切山 玲(キリヤマレイ)
なんら特徴のないこの男こそがこの施設を造った張本人なのだ。
「玲サマ。君付けは止めてくださいって何度も言ってますよね?私ももう30前なんですから、流石に君付けは恥ずかしいですょ」
「………」
希里亜と呼ばれた白衣を着た男はまた溜め息をごぼし、少し考えてからまた口を開いた。
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