いくらか未来が好きになる

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文化祭まで一週間をきった 俺たちは学校が終わってからも、近所のスタジオで練習した 演奏する曲も完成したし、後は本番まで待ち遠しいだけだった 帰り道、ハードロックを聴きだしたヒロシがハードロック好きのケンシンと盛り上がっていた。マニアックすぎて俺とボブはついていけない 「なぁケンシン、〇〇〇のギターはやばいよなぁ」 「あれはテクだけでフィーリングが感じられんから俺は微妙やな、それより○×○のほうがヤバイ、ドラムもいいから聴いてみ」 「なぁボブ、あいつらの話わかる?」 「いんや、わかんねぇ」 ついていけない二人で最近聴いてる音楽の話なんかしてると、コンビニが見えてきた 小腹も空いたので四人で入ることになり、みんな好きなように見回っていた 俺は喉が乾いてたのでジュースを買おうと思ったら、ケンシンがガリ〇リくんを持ってレジに向かいこう言った 「これ温めてください」 ポカーン…… 「いいんですか?」 と笑う店員さん 「10秒くらいで(笑)」 後ろでそれを見ていた俺は笑いを堪えるのに必死 レジ終わって外に行くと 「ドロドロやんけぇ!!(爆)」 当たり前だ(笑) こんな感じに毎日過ごしてる俺たち 未来とかよくわかんねえけど、今がめちゃくちゃ楽しいのだけは確信できた 今はそれだけで十分だと思う 「そんじゃあまた明日なぁ」 学校前、ケンシンの挨拶で俺たちはそれぞれの家路についた みんなと別れた後、急に静かになった 俺は一人MDウォークマンを再生して自転車をぶっとばした 夏も終わりに近づいてきて1日も短くなってきたようで、辺りはもう真っ暗だった 人通りのない田舎道、鼻歌通り越して声に出して歌いながら、急に襲ってきた孤独感を紛らわすように、俺はウォークマンから流れる曲を歌った
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