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「お前の名は、『ウォルフ』だ。今日から私が親だ」 目を開き、最初に見えたモノ。 それはガラスケース越しにいた長い青い髪の男。 言葉の意味がわからなく、不満の声をあげる。 その男が発した音とは全く違い、獣の声。 ただし、その時はどこがどう違うのか理解出来なかったが。 「親、というより飼い主、だろう」 青い髪の男の横にいた丸い男が話し掛けた。 それは自分を馬鹿にしたような台詞。 言葉の意味はやっぱりわからなかったが、不愉快に思われた。 まだ長い時間、目を開けていられない。 抵抗することもなく、目を閉ざす。 「俺の名前は『ナイル』。お前が俺に逆らうことは許されない。これだけは、覚えとけ」 ウォルフと呼ばれた少女が眠る前、最後に聞いた台詞は鞭のようだった。 彼にだけは逆らえない、ということが、辛うじてわかった。
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