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音が無い。 暗い。 だけどあたしの耳はその辺の誰より聞こえるみたいで。 だけどあたしの目はその辺の誰より見えるみたいで。 光の漏れる扉の向こうを時々足音が通る。 厚く重いカーテンの向こうからは夜明けの気配。 あたしが生まれたこの建物は、夜は遅くて朝は早かった。 「ウォルフ、起きたかい??」 昨日会った人だ。 青い青い、長い長い、髪。 「…ナイル」 「そうだ、よく覚えてたな」 ナイルは笑って撫でてくれた。 なんだかそれはとても嬉しかった。 「お前は知能は高いがまだ知識は無い。今日から『勉強』だ」 あたしを固い入れ物から出す。 そしてカーテンを開ける。 「これは『カーテン』。そして、見えるか??あの丸くて光ってるのが、『太陽』だ」 暑い。 あれが、『太陽』。 なんだか、あまり好きじゃない。
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