小さな私のボディーガード

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頭が痛い。ズキズキするよ。 見知らぬ部屋に見知らぬベット・・・なんで自分はここに居るのか思い出せない。隣には見知らぬ男。というよりは男の子?いや赤ん坊か??とにかく性別はオスの人間なのは確かだ。まったく自分の今の状況が把握できない。 混乱。 寝ぼけまなこの中、この混乱から無意識に抜け出そうとボーッと子供を見ていた。2歳か3歳ってとこか?よくよく見てみると、親指をしゃぶりながら丸くなって眠っている。 (子供が指しゃぶるのって寂しさがストレスになって出ている証拠だってなんかのテレビでやってたような?寂しいのかこいつ。) なんて思ったらなんだか無性に頭を撫ぜてあげたい気分になった。そっと、そーっと目を瞑って眠っている男の子の頭を撫ぜる。 (これが噂の母性本能ですか?) なんて思ったら、この状況の中でも気楽な自分に少し呆れてしまった。だから気が抜けたのか、単に力加減が分からなかっただけなのか。私の頭の撫ぜ方が不服だったみたい。急に目がパッと開いたかと思うと、私の顔を確認して目を潤ませた。不安を感じたらしい。 「まま・・・ままぁ・・・ままぁぁぁ。」 そう泣き叫びながら顔を小さな手で覆って布団の中に隠れた。 (そう泣かないでくれ。私だってあんたと寝てる理由もここにいる理由もわかってないんだから。) 半ば、頭を撫ぜた私の行為を後悔しながら私は男の子を抱き上げる。 「ごめんって・・・何も怖いことしないから泣かないで?頼むから・・・私も泣きたいくらいなんだから。」 嘘ではない。頭が痛い時にここまで大声で泣かれて、頭が割れそうだった。 抱き上げた途端に泣き声が増してしまって、失敗したかと思った。頭が痛くて本当になみだ目になりながらも男の子をあやして、背中をポンポンと軽く叩き続けた。ふと、男の子が私の顔をもう一度ちゃんと見ようと顔を上げた。なみだ目な私。男の子は泣き止み、しゃくりあげながらも、ゆっくり呼吸を整えようと頑張っていた。私の腕から少しずつでていく。その間、男の子の目線は私の顔から離れない。 次はなんなんだと怖がっていたら、男の子は小さな声を出した。 「だいじょうぶ?」 私の頭を撫ぜながら、しゃくりあげながら、自分の涙をぬぐいながら。 (可愛いじゃん。) これが私とこいつの“初めまして”だった。
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