『ビョーキ』

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 僕は俗に言う『不治の病』ってヤツにかかってる。  ……あ、ごめん。自己紹介が先だったね。  僕は早坂 望(はやさか のぞま)。15歳。  病院の個室にもうかれこれ5年はいる。  小学生の時、いきなり胸が苦しくなって倒れて、それっきりだ。病室から出してもらえすらしない。窓はあるけどはめ込み式でそもそも開かない造りだし、元々虚弱だった僕に扉を壊す力なんてない。でも、それでもいいと思ってる。  入院する前から僕はサッカーすらまともにできない運動音痴だったし。体力も全然無かった。勉強だってそんなにできる訳でも無い。  要するに落ちこぼれさ。  でも、そんな僕にも好きな事がある。  ……本を読む事。  ココに入院してから、数え切れないくらい本を貰った。両親や親戚、それに友達。皆本をくれた。両親はよくある恋愛話や道徳心を訴えるようなの、親戚は子供が読むようなファンタジー、友達は雑誌や漫画。  どれも面白くて、嬉しい。
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