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余命宣告を受けてから大体3か月が経った。
お見舞いにくる叔母さんはどこか嬉しそうだし、逆に友達は悲しそうだった。
ある日、友達がこんな事を言ってきた。
「……ねぇ、『記憶屋』って知ってる?」
「ううん。知らない」
「これ、何でも願いが叶うんだって! いいよね、こういうの。試してみたら?」
この日、一人でお見舞いに来た、友達の香山 海里(かやま かいり)が、雑誌の特集を見せてきた。
よくあるゴシップ記事だ。
そんな事を考えつつも、僕は真剣に読んでいた。
『願いが叶う!? どうしても叶えたい夢がある人、必見! やり方は簡単。とある言葉の後に、自分の願いを言うだけ! 但し……』
この辺りで僕は読むのを止めた。
「ありがとう。でもいいよ。こんな迷信なん……」
て、と言う前に僕は海里に抱き付かれていた。
「そんな事言わないでよ……生きて、お願い、生きて……!」
海里は泣いていた。
いつまでも、いつまでも泣き続けていた。
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