鬼骨街

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『……ウッ……どうやらここまでか……幸いにして、奴が来る気配はない……また会おう……未来に歩む者達よ……』 慶一はその場に崩れさると、体から臭気が外にでてきた、臭気はそのまま洞窟の外に出て、天に登っていった 「先生……」 郷歌は慶一に寄り添うと、そのまま慶一を柱の近くに寝かした 「変な人だけど、今回で色んなものを見た気がしますね。ゆっくり休んでください。先生……」 その頃、泣き止んだ狭喜は、ゆっくり星切りを田村麻呂と持つと、唐津名草ごと、雹重の肉体を斬った…… はらはらと舞って消えていく唐津名草…… 消えていく肉体の上で笑顔のまま寄り添った両親は、狭喜に笑顔を向けながら 『ありがとう……優しい愛娘……お前の行く先を見守っているよ……』 重なりながら二人は答え消えていった…… 目を真っ赤に腫らして、苦笑いを浮かべながら、狭喜はいなくなる父と母を見送っていた…… 田村麻呂はそんな狭喜を抱き締めると、優しく髪を撫でた 「歩いて行こう……お前の行く先の横に必ず俺はいる……」 固く抱きしめ会った男女の下に、唐津名草の養分で、新たな芽が咲いていた……
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