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「あたしと結婚して下さいっ!!」
遅刻しそうで急いでいた彬の肩を誰かが叩いた。
振り向いた彬に、目の前の女子は頬を赤らめて叫んだ。
真横の道路でトラックがクラクションを鳴らして通りすぎていく。
「……は?」
考えるよりも先に言葉が漏れる。
ここはただの道路であって、それでもって通学路であって、さらに言えば自分の学校の生徒やなんやらが多数いて。
かなりびっくりなシチュエーションなのだが。
でも、女子はこちらの動揺を気にせずに顔をさらに真っ赤にして口を開く。
「ずっと……貴方を見てたんです」
……急な展開に頭が回らない。
好きです、付き合って下さい。とは言われたことはある。けれど、結婚して下さいなんて大真面目に言われたことは、産まれ落ちてこのかた17年だが、一度たりともない。
そもそも問題なのは、自分の目の前にいる女子が見ず知らずだということ。
イエス・ノーで答えられる話ではないのだ。
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