1日目 昼

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………やはり変か? まあいい。 だいたいこう見えてもな、私だって剣を使えるんだ。 その世界に従属する者としてその道具に興味を抱きこだわるのは至極自然なことだろ。 この刀身の反射具合、鏡とはまた異なる自分の映り方、柄の雅やかな装飾。 流麗かつ鋭敏さを備えた形状。 解るやつなら解るだろう。 特に美術館の宝剣とか。 しかしそれにしても高いな。 他の国より2、3割は値が張るぞ。 これでは王国の軍事費だってばかにならないのではないか? 私が前に訪れた国では武器類はすべて相場の2割引で、まあこれはこれで一般人にも容易に手が届くためあまりいい傾向とは言い難いが――。 ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ このとき武器への説明に多少熱が入っていた私は背後で聴こえる足音に気付かなかった。 まさかこのあと急展開が進行するなど夢にも思わず……はぁ……。 つーか気付け! 気付くんだ私、レーレ! 多分運命変わんないけど。  
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