1日目 昼

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納得したようにレーレがパンと手を合わせた。 「お前ここの観光地よく知らないだろ? 俺の服買った後はいろいろと回ってみようぜ」 またパンと手を合わせレーレは、可愛らしい笑みを見せた。 「はい、解りました!」 瞬間、イシュファースは凄まじいおぞ気に苛まれた。 だぶっとした麻の服の内部でふつふつふつと鳥肌が立つ。 …………………は? 2、3秒思考が凍結した。 どうにかこうにか声を捻り出す。 「……なんだ、そりゃ?」 「はい?」 そういえばよくよく考えるとさっきから言葉遣いがおかしい。 演技か? しかし彼の知る演技の数あるキャラクターバリエーションと微妙に食い違いがある気もする。 だいたいなんで俺の前で演技が必要なんだ? 周りに人の気配は…ええと……いない、まったくない。 だとしたら……んん…。  
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