怖い話をするには

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 大学の先輩にアネさんという人が居る。アネさん、というあだ名は彼のちょっと変わった名字と「ウチの姉さんが…」という口癖に由来する。アネさんの姉さんは所謂霊感の強いヒトらしく、様々な心霊体験をしているらしい。そんな実体験を元にした怖い話をするのがアネさんの趣味みたいなモノだった。 僕とアネさんは何故かサークルなどで二人きりになってしまう事が多く、最近は良く連む様になっていた。  アネさんの話す怖い話は、実話である事と現場が近所である事を除けばあまり怖くない。僕は元々心霊体験などというモノは経験した事が無く、心霊スポットに行っても特に何も感じないタイプなので此処の所は世間話に近い感覚でアネさんの話を聞いていた。 「アネさん、何か怖い話無いですか?」  サークルのボックスで、今日も僕は挨拶みたいにそう言った。アネさんは呆れた様に笑う。 「お前ね、俺だって別に無限の引き出しを持ってる訳じゃないんだから」 「何かないんですか、何でも良いですよ」 「暇なのか、お前」 「今日は暇ですよ、バイトもないし」 「何時も暇な気がするな、お前は…」  アネさんにだけは言われたくないと思う。何せ何時来ても此処に居るのだ。タイミングの問題だと以前に言われたが、それにしても会いすぎだと思う。 「あ、そうだ別に実体験じゃなくて良いですよ。聞いた話とかでも良いです。どっかで読んだ話とか」 「あー…聞いた話ねぇ…」  アネさんは急に難しそうな顔になった。何か変な事を言っただろうか。 「どうしたんですか?」 「あー、いや…うーん、俺は知り合いが実際に体験した話とか以外はあんまりしない 様にしてるんだよね」 「そういや出典のハッキリしない話はしないですね。何か理由があるんですか?」 「まぁね…あ、じゃあ今日はその話をしよう。えーとね、訳あって内容は話せないんだけど、俺の友人が前に都市伝説とかにハマった事があってさ」 「あぁ、流行ですしね」
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