怖い話をするには

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「そいつは昔からそういうのが好きだったんだけどさ、今ってネットでそう言う噂とかいくらでも調べられるじゃん?で、そいつもそっち系の掲示板サイトとか結構回ってたらしいんだわ。で、『スゲー怖い話見付けた!タイトル教えてやるから調べてみろよ!』ってメールが来たのね、俺に。内容は話してくれないんだよ。あくまでも自分で調べろっていうんだな」 「調べたんですか?」  アネさんはこっくりと頷く。元々この人は好奇心旺盛なタイプなのだ。そう言う煽りを喰らったら調べずには居られないだろう。 「都市伝説ってか実体験モノみたいな話だったんだけどな。古い呪詛系の話だ。でも俺ソレ読んでも全然怖くなかった訳だよ」 「怖くなかったんですか?」 「怖くなかったっていうか、ふーんって感じ。ヒトの恨みって恐ろしいよなぁ、とか実際に有りそうな話だなぁ位には思ったけど、そんだけ。で、あんまり怖くなかったもんだから姉さんにもこの話したんだよ。したら急に姉さんが怖い顔してさ、『その話は今後、他人にするな』って言い出したんだよね」 「…何で?」 「姉さんが言うには、ソレは多分実話だっていうんだな。俺は全部を話した訳じゃなくて掻い摘んで概要だけ話したんだけど、それでも聞くだけで酷く肩が凝ったって言われた」  『肩が凝った』というのはアネさんの姉さんなりの危険シグナルらしい。本物の霊や呪いの様な物の気配を感じると、急激に肩が重くなるのだそうだ。 「で、俺の友人って言うのもちょっと見えたり感じたりするタイプなんだな。つまり、その話は俺にとっては全然怖くなかったんだけど、霊感の或る人間からはもの凄く怖い話だったって事」  俄には信じがたい話だ。話を聞くだけで体の不調が起こるなんて事有るんだろうか。夏場に良くある心霊番組とかでアイドルとかが話を聞いているウチに具合が悪くなった、なんてやっているけど、じゃあアレも本当なんだろうか。 「本当に良からぬ話ってのにはね、残滓があるんだと。怨みの念とかの残りカス。敏感なヒトはそう言うモノの余波を喰らっちゃうんだそうだ。だから俺もそれ以降、出典の知れない曖昧な話はしない訳よ。俺が他人に話すのは姉さんとか友人に話して大丈夫だった話だけ」
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