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「り~く♪今日、学校終わったらデートしよ~♪」
甘えた声で、背中に抱きついてきたのは、佐藤 麗奈。
俺、島崎 陸の彼女。
『おう、あっ…
でも俺、追試だ…』
そう、この日は、追試の日だった。
「え~またぁ?
仕方ないなぁ…
終わるまで、門の所で待ってる♪」
麗奈は、いつもの笑顔を俺に見せる。
『おっ!マジで?
んじゃ、頑張って終わらすわ~』
「うん♪」
この時…
麗奈を、先に帰しておけば良かったんだ…
まさか…
この時の笑顔が、最後になるなんて…
思ってもいなかった…。
「よーし、追試始めるぞ~」
担任の声と共に、追試が始まる…
俺は、頭を抱えながら唸っていた…。
難しい…
「陸…煩いぞ」
俺の方を見ずに、注意をする担任。
『だって…難しいんだもん…』
俺の嫌いな数学…
「普段、人の話聞いてへんからや。
解けるまで、帰さんからな」
サラッと、酷い事言う担任。
『えー!?そんな殺生なっ!!麗奈待たしてんのにぃ~』
俺は、半泣きで訴える。
「じゃ…頑張れ」
軽く流された…。
このクソ親父…。
『鬼だ…悪魔だ…』
そう思っていた時だった…
―キーードン!!ガッシャン!!―
物凄い音だった…
何事かと思い…窓の外を見る…
俺らの教室からは、校門がよく見える…
その校門に、トラックが激突していた…
『麗奈…門で…待ってるはず…
俺…行かなきゃ!』
「こりゃ大変や!!
今日の追試は中止!!
先生は、救急車呼ぶから、陸!麗奈を頼むぞ!」
俺と先生は、慌てて走り出した…
先生は、職員室に…
俺は、麗奈の元に…
怪我してなきゃ良いと…
願いながら…
靴も履き替えず…
夢中で、校門に向かった…
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