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「…タケさ、確かにヘタレだけど。なんていうか…さっちゃんと一緒のタケみてると…より一層ヘタレになってるなぁって思うよ?」
友達なのに酷いこと言ってるな、俺。
「多分…さっちゃんのことが凄く好きだからあまり怒らせたくないし、怒ってるなら理由を知りたい。でもなんていったら良いかわからなくて…って感じかな。俺、付き合い長いからわかるよ」
うん。多分。
んで、タケって結構ヒトの気配読むの上手だから。
さっちゃんが怒ってるのわかった時点で「どうしよう」って悩むのかもしれない。
俺なにかしたかなぁ、とかさ。
「もう二度とあんなふうに手放したくないって言ってたからさ」
そういってから、うどんを食べ始めた俺。
何かちょっと恥ずかしくなったから。
何、熱く代弁してんだよ俺って。
「…」
…ん?
さっちゃんが黙っちゃった。
ゆっくりと顔を上げれば…
「…あれ」
真っ赤な顔のさっちゃん…
「……そんなの、聞いたこともないわ」
…タケー。
一番いわなきゃいけないこと言ってないのかよー!
もう俺、タケつれてくる!と思ったとき…
あれ。
「…ナギ、お前ー………ごめん、ありがとう」
いつの間にか移動してきていたタケが、さっちゃんを後ろからぎゅっと抱きしめた。
「…ごめん、俺、ほんと何もわかんなくてっていうか。言わなかった。なんかナギに全部言われちまったけど」
「…武」
………。
逃げてもいい!?
「ごちそうさまー!」
俺はトレイを持って立ち上がった。
だって、ここでこれ以上、食べらんないよ!
俺はそのまま、とにかく食べ終えようと食堂の隅に移動しようとした…
そしたら…
「ナギ」
ぐいっと肩を引き寄せられて。
「セン」
多分俺は、驚いた顔をしたけどすぐにしまりのない顔をしたに違いない。
強い強いって言われるさっちゃんも、結局タケには敵わない。そして俺も。
目の前の恋人にはやっぱり敵わないから。
ねぇ、さっちゃん。
たまには弱いトコみせてもいいんだよ。
ねぇ、タケ。
ヘタレだっていいんだよ。
だって俺もセンも、さっちゃんもタケも…
「そんな君だから好き」なんだもん。
20080120
灯紗
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