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「やりなおさない?なんて言わないでよね?顔にかいてあるわよ、わかりやすい。またフってほしいの?」
「…」
「私にあんたは無理。それに、あんたに私は無理よ。あんたの隣は凄く心地がいいけど、多分結婚するならあんたみたいなヘタレな人のほうがいいんだろうけど。私みたいな強気な女の場合はね」
意外。
サチコも俺と同じこと考えてたのか。
つか、ヘタレ言うな。自分で強気だって認めてんのかよ、しかも。
「だけどあんた、私にのめりこんだことないでしょ?」
ズガン、と鉄砲で撃ち抜かれたみたいに言葉が出なくなった。
痛い。
サチコの言葉はいつも痛い。
でも心地いい。
俺マゾじゃねぇけど、こう、ぐさっと核心をついてくるくせに、抉り出そうとか傷つけようとかするわけでもなく、俺に知らしめるためだけにソレをするサチコは本当にいい女だと思う。
本当もったいない。
俺、なんてもったいないことしたんだろう。
なんで俺、サチコのこと愛してるって言えなかったんだろう。
好きなんだけど。
「いっぱい、傷つきなさい、そして探せばいいのよ。で、どうしてもダメならまたおいで。
その頃に私がまだ、あんたの面影消しきれてなくて誰も好きになれなかったら…」
サチコ。
泣きそうな顔するなよ。
お前らしくねぇ。
いや、強気な顔にさせてんのは俺だったのか。
「他の誰よりもあんたの幸せ願ってるのは私だってこと、忘れたら刺し殺すわよ」
こえぇ。
笑顔で言うなよ。
でもすげぇ綺麗だよ、サチコ。
前にごめん、って言ったら殴られたからもう、言わないけど。
サチコの気持ちが痛い。
多分つきあった誰かが怪我をしたとかいっても、サチコが死にそうだって言ったら、俺は絶対サチコのところにいくのに。
多分それは、サチコが…アイツに似てるから。
ナギに似てるから。
サバサバしたとこも、物言いも考え方も、笑い方だってそっくりなんだ。
そんなサチコを愛したなんていったら、俺はまるでアイツの面影を追ってるみたいで、サチコの顔みれなくなりそうで。
そのことに気がついたから少しずつ距離をおいたんだ。
アイツにも、サチコにも失礼な気がして。
俺はどうしてもネガティブで、俺なんかって思ってしまう。
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