ヘタレでごめん。

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こんな俺がサチコをどうして幸せにできよう? 俺を幸せにしたいって願ってくれるサチコをどん底に落とす前に別れようって思った。 俺だってサチコが大事だから。 そして俺はその日、サチコに別れを切り出す前にさっぱりフられたんだけど。 『私をフろうなんて100年はやいわよ。新しい男つくったから、別れてあげる』 思い出してもあの笑顔は怖い。 だけどやっぱり、サチコの笑顔はどれも綺麗なんだ。 言葉を発しなくなった俺の頭を優しくなでて、サチコはあんたのおごりよって言って伝票を俺に押し付けて去っていった。 凛々しい後姿。 手を伸ばすことも出来なかった。 サチコ、サチコ。 お前が隣に居ないのはこんなにも寂しい、だけどお前が傍にいないのはとても安心する。 お前を抱きしめてるときも安心するけど、心の中全部にお前が浸透してくるのがおそろしく… 「…こわい?」 はっと気がついた。 ああ、もしかして。もしかして俺って。 追いかけなきゃ。 席を立とうとしたとき、 「こんのスカタンがぁっ!?」 後ろから、思いっきり頭をスパーンと何かで殴られた。 そう、おもいっきり。 「んぐはっ」 倒れるのをこらえて、足を踏ん張る俺。 …!スリッパかよ…! 「追いかけろ、追いかけるンだ!!このヘタレくそ男!」 「…は?…へ?えっ?えぇ!?」 悪鬼のごとくの形相で俺に掴みかかってきたのは…ナギ。 …なんで!? 「…悪い、一応とめたんだが」 そして俺も聞いた、って言いながらセンがナギの後ろから出てきた。 どうやら全部盗み聞きしていたようだ。 止めたのかよ、本当に。 「さっちゃん、海外留学するって言ってたぞ!いいのかよ、お前!あんだけお前のこと大事にしてくれてる子なんていねぇぞ!?」 マシンガンみたいに言葉を発っするナギ。 わかってるって、だからお前が言うな。 俺の好きな顔で言うな、このバカが……あれ?ナギってこんな顔だったか…? …サチコはこんな風に、剥き出しの感情をぶつけてきたりしない。 歯が立たないくらいの正論を並べてくるけど。 でもサチコは… 困った顔でいつも、最後は笑ってくれた。 その顔が、凄く好きだった…
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