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一矢『だから出来ないとは言ってないんだろ?』
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優奈『あんたは少し滝本君の謙虚さを見習ったら良いんじゃないの?』
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浩二『一矢が謙虚なわけないだろ』
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一矢『宮下君にならともかく、お前には言われたくないな』
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浩二『なんだと!?』
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ったく、いつもながら感情の変化が激しい奴だ。
一矢は浩二の言葉を受け流すように、俺に顔を向けた。
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一矢『それで、お前これからの食事はどうするんだ?』
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凛『う~ん、まあ一応生活費は貰ってるから、朝は前日に買ってきたパンを食べて、昼は学食で済ませて、夜はコンビニで弁当を買ったりかな』
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一矢『それじゃ、まるで大学生の生活状態だな』
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凛『しょうがねえだろ? 料理出来ねえんだから』
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一矢『お前のは出来ないんじゃなくてやらないだけだ』
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またまた間髪間をいれない一矢。
少し図星をつかれ胸を打たれた。
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凛『……』
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言い返す言葉がなかった。
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優奈『でも、本当に健康に悪いよ。 …もしよかったら…』
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ガラガラ
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教師『お~い、皆、席に着け~!』
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優奈が何かを言いかけた時、担任が教室へ入ってきた。
教師のかけ声に、みんなぞろぞろと自分の席に戻っていく。
優奈はなぜかその途中うなだれていた。
その合間、教師が黒板にある名前を書き込んでいる。
間違いなく噂の転校生の名前だろう。
そして俺達の方へ振り返った。
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教師『え~、突然の事だが、転校生を紹介する』
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男子1『いよっ!待ってました~!』
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男子5『先生! 早くっ早くっ!』
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女子3『や~ね~、男子って!』
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バンバン!
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教師『おいおい、静かにしろ!っていうか、なんで知ってるんだ』
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転校生を待ちきれない男子とそれに少しあきれ気味の女子達。
教師はザワザワと騒ぎ始める教室内を教卓を日誌で叩く事によって収めると、ドア口に顔を向けた。
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教師『おーい!いいぞ、入ってきなさい!』
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その声によって、噂の転校生は教室に入ってきた。
美少女と噂を聞いていた男子女子共に息を呑む。
その綺麗な髪、ピンと背を伸ばしてゆったりと歩く姿。スタイルも確かにモデルのようだった。
一度転校生の姿を目にしていた2人の男子生徒も改めて息を呑み、呆けていた。
美少女は教師の隣まで行くと、俺達の方へ真っ正面になるように体を向けた。
確かにその顔は可愛くて端麗に整っていた。
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