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凜「疲れるようなことね…まあ、確かに部活には疲れてるよ」
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遥「部活?」
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凜「そう」
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遥「凜君、なんの部活に入ってるの?」
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凜「空手部にな…」
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しかし、なかなか寝させてくれねえな…
寝るように体を机の上に倒したまま、遥のほうを横目に見る。
すると遥もこちらに顔を向けていた。
なにやら興味深げな表情をしている。
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遥「へえ、凜君空手部に所属してるんだ!?」
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急に話の空気が変わったような気がした。
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凜「そう」
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遥「空手はどの位やってるの?」
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凜「…8年位かな」
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遥「結構長いね?」
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凜「まあな…」
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眠い…
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遥「それじゃ、やっぱり…」
凜「あのさ…」
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眠気の限界に遥の言葉を制した。
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遥「なに?」
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キョトンとした顔をする遥。
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凜「寝させてくれない?」
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遥「だーめ!」
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即答だった。
そして意地悪な笑みを浮かべる遥。
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遥「寝ちゃうと即先生に報告しちゃうよ」
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凜「………」
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またも思いもよらぬ言葉だった。
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凜「…はぁ? …勘弁してくれよ…」
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遥「それじゃ、凜君がしなきゃいけないことは、報告されて先生から罰をうけるか、
私と話をするかのどっちかだよ」
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もう思考回路が理解不能だった。
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凜「…へ?」
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思わず間抜けな返答をしてしまった。
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凜(何言ってんだ?こいつ)
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普通は授業を受けろというべきだろう。
まあそう言われる自分の行動を自覚していながら寝る俺も俺だけど。
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凜「…どういうことだ?」
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遥「だって、凜君はどうせ授業を聞く気はないんでしょ?」
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凜「まあ…」
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遥「だったら、寝る姿を見られるよりは起きてる姿を見られる方が良いし、授業内容を聞くよりはさっきの話の続きをした方が良いでしょ?
第一、聞く気の起きない授業を受けたって身に付かないよ」
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まあ確かに…。
でも、単にこいつが話の続きをしたいだけなんじゃないか?
それにしても、話せば話すほど馴れ馴れしさが強まってるような。
これが地なのか?
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遥「ねっ?」
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凜「……」
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凜「…わかったよ」
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観念した。
こいつなら本当に寝たことを報告するような気がする。
しかし、今時そんなことを言いつけるという奴も珍しい。
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遥「それじゃあね、凜君はなんで空手をしてるの?」
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それから昼まで眠気を我慢して遥と話をすることになった。
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