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しかも偶に『父さんと母さんはどこの夫婦よりも愛し合ってるんだぞ~』と自慢してくる親父がウザかった。
でも、その親父に『お前もこんな風に 結婚してもラブラブになれるような女性を見つけろよ』と言われた時、言葉ではあきれる様に否定したが、うらやましく思う気持ちも少しはあった。さすがにあの2人のようにはなれないがな。
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浩二『あの親あってお前ありだしな お前も案外あんな風になったりしてな』
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凛『馬鹿、なわけねえだろ。 なろうと思っても無理だよ』
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学園の校門が見えてきた。
そこから下駄箱までの通りに、見慣れた後ろ姿が。
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凛『あれは…』
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浩二『優奈ちゃんじゃん』
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浩二『おーい!優奈ちゃーん!』
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その声に振り返る女子。
するとその女子は無言のまま俺達へ歩み寄ってきた。
そして、
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バカッ!
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優奈『ちゃんづけで呼ぶなっていつも言ってるでしょ!?』
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浩二『いてて、だからって殴ることないじゃんよ』
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優奈『言っても治らないから殴ってんでしょーが! だいたい…』
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凛『おいおい、朝っぱらから痴話げんかしないでくれよ』
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優奈『えっ?……っ!…凛君…』
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それまで俺や一矢の事に気づいてなかったのか、俺達に気づくと一瞬の間を空けて顔を真っ赤にした。
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優奈『あっ、おはよう凛君 滝本君』
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凛『おう』
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一矢『おはよう 宮下』
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その様子を見た浩二は焦るように。
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浩二『あっ、あっ、優奈ちゃん、俺には挨拶は!?』
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優奈『あんたは良いのよ!』
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浩二『そりゃひどいよ!』
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優奈『変わりに殴ってあげたでしょ!』
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その言葉を聞いて一瞬考えるように間を空けるが、
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浩二『俺にはあれが挨拶なの!?』
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凛『ほら、夫婦漫才はいいから、早く行こうぜ』
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優奈『夫婦ってそんなこと!…』
浩二『そうかな? 俺達ってそんなに息が合ってるのかな?!』
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2人からは別々の答えが返ってくる。
優奈からは否定的に、浩二からは嬉しそうに。
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優奈『馬鹿! 凛君の前で変な事言わないでよ!』
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浩二『そんなぁ』
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凛『ったく』
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沈むような声を出す浩二。
そんな様子を見ながら俺は少し呆れ気味に2人の間を通って歩き出した。
そうすると、先程と同じように3人も歩き出した。
浩二と優奈はあんな感じに言い合う事が多いが、幼馴染みらしい。
まあ喧嘩するほど仲が良いって事なのかな。
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