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とは言っても、浩二には喧嘩してるつもりはないみたいだが、
まあ周りからすれば分かりやすく、浩二は優奈に惚れているようだ。
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浩二『でも、優奈ちゃん』
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優奈『 なによ』
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浩二『前から思ってたんだけど、なんで俺は呼び捨てで、一矢を名字で呼んで、凛は名前でしかも君づけなんだ?』
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優奈『なっ!…べ・別に私がどう呼んだって良いでしょ?凛君にはそう呼んでも良いって言われたんだから…ねえ凛君』
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凛『あ? ああ』
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歩きながら優奈の方を向くと、優奈の顔は少し赤く、俯くように上目目線だった。
だが、目が合った途端に目を逸らされる。
(なんであんなに戸惑ってんだ)
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浩二『え~、 でもなぁ』
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一矢『おいおい、そんなに追及してやるなよ』
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浩二『一矢は気にならないのか?』
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一矢『別に…ただ、ここに鈍感な奴が居るなって思うだけだ』
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なぜか俺を見るように言う一矢。
その事に浩二達は気づいてなかった。
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浩二『はぁ? 鈍感? 何でそんな話が出てくるんだ?』
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一矢『気にするな』
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そんな2人の会話に俺も違和感を感じていたが、優奈には意味するところが分かるのか、また顔を赤くしていた。
その様子に俺は頭を傾げる。
一矢はそんな俺の顔を見てため息をつく。
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一矢『ったく、本当に鈍感なやつだな』
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一矢はポツリと小声で何かを呟くと、微妙にずれた眼鏡を中指で直す。
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凛『ん? なんか言ったか?』
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一矢『なんでもないよ』
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俺はもう一度頭を傾げると、気にするのを止めて空を見上げた。
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(今日もまた、いつもと変わらない1日が始まる)
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この時の俺はそんな事を思っていた。そう、彼女と出会うまでは…。
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