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「おい、アリス!」
そこで一人の男の声が聞こえる
彼はこの大学の問題児、ダンだった。
成績は上の下。
しかし 態度も悪いし 手癖も悪い。
「あっ…ダン…おはよー…」
呑気なアリスに溜め息を吐き
ダンは鼻を鳴らす。
「お前、サボり過ぎ」
「ダンに言われたくないわ」
本にしおりを挟んで、アリスはそう言い返した。
「何で―…」
「ダン」
僕は話に水をさすように、冷たく名を呼んだ。
「図書室では静かに。」
すると、ダンはヘッと笑って
適当に すみませんでした と言う。
「何で、サボんだよ?」
彼は小さい声で言い直す。
「だって…授業詰まんないんだよ?」
彼女は上の上の成績の持ち主で、そう思うのは無理もない。
「そんなの分かってんだよ
授業はつまんねぇモンなんだよ」
彼はニタリと笑った。
「ダン。」
僕はもう一度 彼をたしなめる。
アリスさんは貸出しカードを出してにっこり笑った。
「これ借りますね」
「はい、一週間以内にお願いします」
僕は業務的に言う。
あぁ なんて悲しい。
彼らは肩を並べて 図書室から出ていく。
一緒の授業
一緒の時間
あぁ うらやましい。
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