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「え…ぁ、すみません…」
ジャックは最後の最後までアリスから目を離さなかった。
「んじゃぁ、もう一度最初から…」
うんざりだ。
自分の眉間に寄った皺をグリグリと人差し指の第一関節で押す。
「へぇ~…アリスさんはそんな遠くから」
ルートはかなりの甘党らしい。
紅茶に角砂糖を何粒も何粒も投入していた。
その上、クッキーまで普通に食べる。
…普通の人なら、吐き気さえしそうだ。
「えぇ…」
アリスもそこそこ甘党らしい。
「…席がえの様です。」
ルートのあの笑顔は陰る。
「あ…その様ですね」
アリスは気付かないのか、普通に受け流した。
「それでは。」
ルートは大きなシルクハットを外し、アリスに丁寧にお辞儀をした。
「はい」
アリスも慌ててお辞儀をする。
アリスは丁度真ん中の席になった。
しかも、右隣にはダン。
左隣には、なんだか小汚いウサギの仮装の男。
前の席は…ジャック。
「あ、アリスさんですか?」
小汚いウサギの仮装をした男は、ヘラヘラと笑ってアリスに話掛けた。
「え、えぇ…アナタは?」
「俺はドゥーンって言います」
と言って握手を求めて来た。
アリスは 宜しく と、その手を握った。
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