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ギギッ、と軋む重い扉を開ける…。
「わぁ…」
思わず感嘆の溜め息をつく。
散らばる レポート用紙 古い書物…書かれている文字は…
ラテン語…?
それより 目の前の 大きな大きなステンドグラス。
薄暗い森の日差しは 全てここに集まっているかの様に思った。
なんだろう…
描かれているのは…聖書…物語…?
陽の黄色い光を 赤 青 緑 その他の色々に染めて、祭壇の後ろに聳えている。
私は 祭壇を登った。
クリスチャンではないけど、十字架を指で作り、ゆっくりと瞼を閉めた。
「何をしているんだい、こんな所で。」
私の体はビクリと痙攣し、動かなくなってしまった。
後ろで聞こえた 男の人の声。
まだまだ若い人だ。
柔らかな声だったが、私を驚かすには十分な声量だった…。
足音はコツコツとこっちに向かってくる。
怖くて怖くて…少し 涙が出た
ココは立ち入り禁止区域だったのか?
今から怒られてしまうのか…?
ネガティブな考えが脳を支配する。
私の後ろで 足音が止まる。
うつ向いたままゆっくりと振り向いた。
細い足が地に着いている。
手首も細くて、白い。
そのままゆっくりと顔を上げた。
彼は優しい眼差しで 私を見ていた。
「驚かせてしまったようですね」
眉毛をハの字にして、苦笑する。
「大丈夫ですか…?」
その人は私の涙を優しく拭った。
「すみません…申し遅れましたが…
僕はジャックって言います…あの、アナタは?」
「…アリスです。」
「ふふ、アリス、ですか。
物語にでも出てきそうですね」
そう言ってジャックさんは綺麗な笑顔で笑う。
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