【アバヨの剣】～野良の竜～

序章

横内作太郎は昨晩、勤めを果たし、帰路に立つ途中何者かに襲われ、斬られた。遺体から多数の傷口が発見され、二、三人に襲われたのだろう。懐から財布が抜き取られていない事から、横内に対する恨みの犯行だろうと、思われていた。

念のため、富田と平吉が現場の近くのそば屋で涼みながら張り込みをしていたが、二刻（４時間）たっても何も異状はなかった為、二人も引き上げようとしていた。

すでに四ツ（午後10時）は過ぎていた。

辺りは暗く、立ち並ぶ店も雨戸を閉めていた。