序章

6/9
前へ
/9ページ
次へ
男は物怖じせず、こちらを刺すように見ていた。 富田『名を名乗れ!!』 再び強い口調で推何した。 男『……石原丹兵衛。』 低い声で男は答えた。 突如、後ろからバタバタと踏みよる音が聞こえた。 富田『尾けられていたか!』 平吉『だ、旦那!!』 後ろから覆面姿の男が三人現われた。 石原『無仏重蔵一派の者よ。』 ニヤリと笑みを浮かべながら、石原は抜刀した。それに続くように後ろの男たちも刀を抜いた。 平吉も行灯を投げ捨て、懐から十手をとりだし、身構えた。行灯がボッと燃え上がり、辺りを明るくした。 富田『我ら八丁堀を襲うとは不届きなっ!!』 富田も抜刀し、中段の構えで石原に剣先を向けた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加