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半兵衛はそっと秀吉の胸を押し、離してと呟いた。
「本当にごめん秀吉・・・」
俯いたままの半兵衛を秀吉はさらに抱き寄せた。
そして耳元でそっと囁く。
「少々、残念だった。」
え、と半兵衛は怯えた顔をした。
「おぬしにも小さな"半兵衛"を紹介しようと思っていたのだが。」
小さな笑いが半兵衛の耳に入る。
その笑いに半兵衛はホッとしたのか腕の力をぬき、秀吉に身体を預けた。
「秀吉、怒っている?」
「いや、残念だっただけだ。」
改めて秀吉の目を覗き込む半兵衛。
その目はあの小猫と同じ、紫の底に悲しみを隠していた。
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