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初めに郵便屋が口を開こうとした時、少女はさえぎるように怒鳴った。
「あたしはまだ小学生よ。これからまだいっぱいやることがあったの。遊んで、勉強して、大きくなって。どうして死ななきゃいけないのよ」
少女のその言葉に、特別席の女は同情した。
「私たちも確かに死ぬには早いけど、あなたはもっと…」
そこまで言うと、女は言葉が詰まった。そして再び沈黙が流れた。
と、そこへもう一人駅員が現れた。初めの駅員よりも年が上の感じで、着ている制服も多少違う。さしずめ駅長といったところであろう。
「話は聞かせてもらいましたよ、お嬢さん」
駅長がそう言うと、少女は駅長の方を向いて口を開いた。
「そう。だったら話が早いわね。あたしを…」
少女がそこまで言うと、駅長が後を続けた。
「帰る方法を教えましょう」
そう言うと、全員目を丸くした。
「本当に?」
少女もまさかそんな答えが返ってくるとは思わず、自分の希望通りの答えに驚いた。
「おや、いいんですか?」
駅長がそう言うと、少女は慌てて
「よくない!」
と続けた。
「それではついて来てください。ただし…、あまりお勧めではありませんがね」
最後の言葉を特に強調して言うと、それから駅長は少女を見据えた。
「かまわないわよ」
少女も駅長を見据えた。それから2人はその場を立ち去った。
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