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 扉が開くとすぐに少女は足を踏み入れた。少女が中に入ると、扉が閉められた。少しビックリしたが、鍵をかけられる音はしなかったので、少女はいつでも逃げることができると考え、扉のあちら側の、いわゆる『部屋』を見渡した。    少女の身長の半分くらいの大きさの人形が何体か無造作に転がっており、中央の椅子には誰かが腰をかけているのが分かった。   『もうまったく、死ぬっていやね。私、どんなことをしたって絶対帰ってやるんだから』    少女は心の中でそう言うと、ツカツカと中央の椅子に座っている人物の方へ歩み寄ったが、転がっている人形に対して不快感を覚えた。    少女は椅子に座っているのが老婆であるということに気がついた。おそらく彼女が駅長の言っていた魂使いのおばあさんなのであろう。少女は声をかけようと思ったその瞬間、逆に老婆の方が先に口を開いた。   「何の用かね、お嬢さん」
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