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「ちょっと待って。あたしとって来るから」
未希は転がったボールを追って、公園の脇までやってきた。すると、転がっているボールの側で、一人の女の子が倒れているのに気がついた。ちょうど5年生か6年生位だろうか。5年生としては小さい方の未希としては、倒れている少女は大きく見えた。
「ねえ、大丈夫…?」
小声で呼んでみたが反応がない。本当は近くまで寄って声をかけたらよいのだろうが、未希にはそうする勇気がなかった。そこで未希はすぐに友達を呼んだ。すると、一緒に遊んでいた3人の友達が駆けつけた。
すぐに、細身でわりと背の高い明美が倒れている少女の元で腰を下ろした。
「ちゃんと息はしてそうよ。どうしたのかしら」
明美はみんなの方を向いてそう言った。穏やかそうな感じの聡史も明美に並んで腰を下ろした。
「しっかりして。起きてよ」
聡史がそう言って体をゆすると、全員少女が僅かに動いたのに気がついた。
「大丈夫だよ。大したことないって、きっと…」
小柄な裕太がみんなを安心させようとそう言ったが、少し自信がなさそうだった。
とその時、少女がまた動いた。うっすらと目を開き、ゆっくりと上半身を起こした。
「あ、あたし…」
少女はそう言って辺りを見回した。見ず知らずの自分と同じ位の子どもが4人いるのに気がついた。
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