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「大丈夫?どこか具合が悪いの?」
未希が心配そうに声をかけると、少女ははっとして、
「大丈夫」
と答えた。それから少女はゆっくりと立ち上がった。足元もしっかりしており、もう大丈夫そうだった。すると明美がじっと少女の顔を見ながら、不思議そうに声をかけた。
「それにしてもあんた、見かけない顔ね。ここら辺の子じゃないわね」
明美の言葉に少女はちょっとムッとしたのか、いつもやっているように言い返した。
「いけない?ここら辺の子じゃないと!」
明美は、思ってもない様な少女の答えにちょっとビックリした。すると聡史が心配そうに声をかけた。
「ところで、お医者さんに行かなくって大丈夫かな」
「平気よ。だってあたし、幽霊だもん」
少女のあまりにも突拍子もない言葉に、全員目を丸くした。
「幽霊だって!本当かよ」
裕太はそう言うと、不思議そうに少女の体をじろじろと興味深そうに眺めた。そんな裕太のしぐさに少女はちょっとたじろいだ。
「そんなにじろじろ見ないでよ。別にあんたたちとそんなにかわんないでしょ。ほら、足だってあるしね」
そう言って少女は足をみんなに見せた。
「じゃあ、死んでいるの?」
「そうよ。まだ死んでいるわ」
未希の問いに少女は答えた。
「まだ?」
明美が不思議そうな顔をして尋ねた。他の3人も同じような顔をしている。そして今度は聡史が少女の体をじろじろと眺めた。そしてそれに気づいた少女が何か言おうとしたが、その前に聡史の方から声をかけた。
「でもそう言われると、何か薄いね、君」
「薄い?」
少女は意味が分からず繰り返した。すると今度は明美も少女をしろじろと見回して言った。
「そうねぇ。何か薄いのよね。いるような、いないような…」
明美がそう言うと、少女は不安げに今度は自分自身で自分の体を見回した。しかしすぐに、ちょっと怒った口調で言い返した。
「それって失礼じゃない!それにあたし、もうすぐ生き返るんだから!」
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