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「へえ、あんた明美って言うんだ」    今度は明美も強気に返した。   「そうよ。あたしは川野明美。小学5年生よ。何か文句ある?」    少女はますます面白そうに続けた。   「小学5年生かぁ。丁度いいわね。あたしも同じよ。あたしの名前は植村真理子。別に覚えてくれなくてもいいけどね」 「そんなことないわ。私覚えておく。真理子ちゃんね。ねえ、私の名前も覚えて。私は西村未希。みんな小学5年生なのよ。よろしく」 「おれの名前は東山裕太。裕太ってよんでくれよな、真理子」 「そんな気安く呼び捨てしないでよ」 真理子は今度は裕太の方をにらんだ。 「ぼくは島田聡史。生き返ったら友達になってよ。あ、もう友達だね」    最後に聡史が自己紹介をして握手の手を出したが、真理子はその手をフンと言わんばかりに払いのけた。  すぐに明美が反応した。   「性格悪いのはお互い様ね」    そう言いながらも明美は少しだけにっこりした。明美自身もよく、ストレートな喋り方や態度で友達から誤解される事も多く、真理子のことを態度通りの悪い子には思えなかったからである。   「でもどうしてもって言うんなら友達になってあげてもいいわよ」    明美は素直な言い方ではないが、そう続けた。けれども真理子はツンとした。   「あたし、一人でも平気よ」    真理子はそう言うと、父親と母親のことを思い出した。   「そうかしら。でもやっぱり友達になりたいわ。友達は多い方がいいんだから!」    未希が真理子に向って言った。未希は元々おとなしい性格で、友達を作るのが下手だった。そんな彼女と初めて仲良くしてくれたのが明美であり、彼女のおかげで、ほんの少しだけど明るく振舞えるようになったのである。未希は真理子が一人ぼっちに思え、今度は自分が友達になってあげたいと思ったのである。   「そうだよ。それに幽霊の友達なんて、すごいや。ねえ」    聡史が単純に同意した。聡史は真理子や明美とは逆で、物事をすごく素直に受け取るのである。そしてそれは裕太も同じだが、裕太の場合は聡史よりも口数が多く、少々ピントが外れたことを言ってしまうところがある点で、違っていた。
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