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「行こ、真理子ちゃん」
未希がそう言うと、真理子は何も答えずについて行った。振り返るとニヤニヤしながら立っている死神がいたが、真理子は無視して未希の後を追った。
それから5人はボールで遊んだり、おにごっこをしたりした。遊んでいる間、真理子はちょっとだけ楽しかった。それだけに、真理子はちょくちょく感じる死神の視線が不愉快だった。
おにごっこが終わると、5人は集まった。
「楽しかった!」
「うん、また遊ぼうよ」
裕太と聡史が続けて言った。
「じゃあ明日3時にまたここで遊びましょう」
未希も言った。
「そうね…」
真理子はそう言った瞬間、ハッとして時間が気になった。
「ねえ、今何時かしら」
真理子が尋ねると、裕太が細い腕のわりには大きな腕時計をオーバーに見て言った。
「今は、3時半くらいかな」
「今は3時27分21秒でっせ」
死神が真理子の耳元で囁いた。
「あ、あたしが、その、みんなと出会ったのは、何時位だったかしら」
真理子はもう一度尋ねた。
「えっと、だいたい30分くらい前じゃない?だから3時くらいかしら」
未希がそう言うと、また死神が囁いた。
「3時1分17秒でっせ。3時1分17秒までしかないでっせ」
「ぎりぎりじゃない!」
思わず真理子は叫んだ。
「ぎりぎりって、何が?」
明美が真理子に向って尋ねた。真理子は明美の顔を見たが、すぐに目をそらした。そして不安そうにみんなの方を向いて言った。
「あ、別になんでも…。でもみんな時間通りに来るかしら…」
すると未希が気を利かせて尋ねた。
「じゃあ2時半にしましょうか?」
「そ、そうね。2時半にしましょう。なんか早くみんなと会いたいななんて…」
真理子は明らかに自分が動揺しているのが分かった。そのせいか、やたらと明美の不思議そうな視線が気になった。でも明美は何も言わなかったので、真理子もそれ以上は喋らなかった。
「じゃあ、また明日!」
聡史がそう言って帰って行った。裕太も帰り、そして未希も明美と一緒に帰って行った。真理子はみんなが帰っていくのを、遠くからずっと眺めた。
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