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「ふう、なんとか大丈夫みたいね」    真理子はそうつぶやいた。と、死神がまた側で囁いた。   「そうですなぁ。でも、あんまり時間はないでっせ。もう選んでたんと違いまっか?さっきでもわてに言ってくれりゃあよかったのに。そしたらすぐにでもあんさんはパーッと生き返れ…」 「いいの!なんか間が悪かったのよ。それにあんたがうろうろしてて気が散ったの!」    真理子は死神の言葉をさえぎって怒鳴ったが、死神は相変わらず面白そうな顔で言った。   「そーでっかー?なーんかあんさん。自分の代わりに誰かに死んでもらうなんてこと、できへんのじゃないでっか?」 「そ、そんなこと…ないわよ。だってあたしはまだ小学5年生よ。まだいっぱいすることもあるし、それに明日はあたしの誕生日なのよ!」    真理子は必死で反論した。   「はいはい、せいぜい明日までに誰にするか選んどきーな。ま、選ばれたもんは、たまったもんじゃないけどな」    死神はそう言うと、スッと消えた。    真理子は死神の最後の言葉に引っかかった。そして一人になると、誰に向って言うわけでもなく、むしろ自分に言い聞かせるようにつぶやいた。  「そ、そうね。もしあたしが選ばれたとしたら…いや…ね」
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