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「そこの5体の人形はな、あの子と同じことをしようとしてできんかったものたちなんじゃよ」
一瞬間があり、とんちゃんが楽しそうにつぶやいた。
「とんちゃん、そろそろ新しいお友達がほしいな」
広島弁の男が問い返した。
「おい、それってどういうことじゃ?」
今度は人形たちが次々に答えた。
「へへ、ぼくたちの仲間になるのさ!」
「ですから、あの女の子が失敗するのが楽しみってわけなんです!」
「そうそう、人の失敗っていいわよね。あの子いったいどうなるのかなぁ」
そして4体の人形は声をそろえて不気味に笑った。
「おい、まさか人形になるってのか?かわいそうやないか!」
関西弁の男がまた怒鳴った。
「自分で選んだ選択肢じゃ。自分で責任をとるんじゃよ」
老婆はそう言うと、人形と同じように笑った。死人たちは3人とも、怒りをあらわにして老婆と人形たちをにらみつけた。
「ぼくたちだって、人形にされたんだ!」
「仲間は多い方がいいのであります!」
「そうね、どんどん道連れにしなくっちゃね!」
「どうだ、まいったか!」
人形たちは次々に叫んだ。
「おまえら、生まれ変ることができなくなっているうちに、そんな汚い心になったんじゃのう!」
今度は広島弁の男がまくし立てた。そんな死人たちを見て、老婆はフンと鼻を鳴らした。
「誰でもこの子らの代わりはできるんじゃよ。でも、誰も代わろうとせんのじゃ」
老婆はそう言うと人形たちのほうを見回して、また死人たちに向って続けた。
「それともおまえらが人形になってやるかえ?」
「そ、それは…」
女が思わずつぶやくと、老婆はまた、見透かしたように笑った。
「特別席に乗れるもんだって、無理な話じゃろ」
「あたりまえや!なんか、どううまく言っていいんかわからへんが、なんかそれっておかしい気が…」
関西弁の男がすぐに反応したが、老婆がさえぎった。
「まあ、おまえらは黙って列車に乗るのが一番じゃ」
老婆の笑い声とともに、3人の死人たちの周りが変化した。3人は慌てたがどうすることも出来ず、その場にうずくまった。
人形たちの声が次々に聞こえてきた。
「じゃあみんな、バイバイ!」
「もうじきあの子が仲間になるかもしれませんね」
「なんだか楽しみね。お友達、たーくさん増やさなきゃ」
「友達は多い方がいいんだよね」
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