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 それから辺りが落ち着くと、死人たちはまたもとの霊界列車の駅に戻っていた。そして死人たちの周りには、駅長たちが立っていた。   「どうです?だからあんまりオススメじゃないんですよ」    駅長が死人たちに告げた。   「ちょっと待ってください。あの子をなんとかしてあげる方法はないんですか?」    女が尋ねた。すると今度は郵便屋が答えた。   「私たちがしてあげられることはありません。この霊界では、自分のことは自分の心で責任をとるようになっているんです。ですからあの子のことは全て、あの子の心が責任をとらなくてはならないんです」    郵便屋がそう言うと、死人たちは返す言葉がなくなり口をつぐんだ。   『自分のことは自分の心で責任をとる』    生きていた時の行いによって列車の席が異なる霊界では、当然といえば当然のことであろう。いわゆる因果応報といったものが表れにくかったり、表れてもそれを感じることが難しかったりする『生きていた時の世界』からやってきたばかりの死人たちには、郵便屋の言葉がとても厳しいものに思え、同時に少女に何もしてやれない自分たちの無力さを痛感させられたのであった。
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