―序―

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 明日の土曜日はあたしのお誕生日。大好きなママの運転する車の助手席に乗って、パパを駅に迎えに行く。パパを駅で車に乗せたら、家族3人であたしのお誕生日のプレゼントを買いに行く予定。    それからうちに帰ったら、ママがあたしのためにピアノを弾いてくれて、あたしはお返しにパパとママにピアノを弾いてあげる。    名前はよく分からないけど、ママの車はカッコイイちょっと自慢の外車。信号が青になってママが車を出したその瞬間、右から止まりきれなかったトラックが突っ込んできた。ママも叫んであたしも悲鳴をあげた。トラックはすぐに大きくなって、そしてあたしを飲み込んだ…。    一瞬記憶が途切れて次の瞬間、あたしはなんだか空中を浮いている。    あたしが倒れている…。    ママも!    トラックを運転している男の人が青ざめてあたしたちの側にいる。人が増えてきた。    あたし…死んだ…。    そう思った瞬間、体がすうっと空中に吸い込まれていった。
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