―序―

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 真理子の目から、涙がたくさん溢れていた。   「パパ…、ママ…」   「ママ…」   「ママ!」   「ママは!ママは生きてるの?」    真理子は泣きながら郵便屋に尋ねた。   「ええ、生きていますよ。重体ですが、命はなんとか取り留めるでしょう」    郵便屋の答えにほっとしたが、真理子はまだ涙が止まらなかった。    それから郵便屋はカードをバッグにしまうと、再び真理子に召集状を差し出した。真理子が涙で濡れた手で受け取ると、郵便屋は挨拶をして帰って行った。   「パパ…」   「ママ…」   「あたし…死んだ…」    真理子の涙は止まらなかった。
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