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そんなこんなで早10分。
(ああ…気まずい…!)
二人は無言で歩いていた。二人分の足音が大きく響く。
(何か、何か話さないと…っ)
「ああああのさ芦…っ芦川!」
「…何?」
「が学校は、ど、うだった!?」
「…いや、普通だった?」
何なんだろう、この三谷亘という人間は。
面白いんだかそうじゃないのか。
イイ奴なんだかそうじゃないのか。
(掴み所がない、というか、)
「三谷、」
名前を呼んでやると笑えるくらいの反応が返ってくる。
「よく分かんない奴だな、お前」
…褒め言葉ではない、と思う。
でも芦川は笑ってるからヨシとしよう。
「芦川こそ、何だか難しい奴だよ」
「難しいって何が?」
「え!?え、っと…何時も?あれ違う…まあ本読んでる所とか?」
「三谷は本読まないのか?」
「よ…読むよ!じゃあじゃあ…」
そんな亘を見て、美鶴は微笑む。
「―面白い奴…」
掴み所がない、は取り消し。
全体的に、面白い奴。
ぽつりと呟くと、美鶴はまた亘をあしらいに行ったのだった。
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