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1番最初に浮かんだ顔は、芦川 美鶴その人。
(何で、あいつの顔が、)(最初に出てくる?)
…訳が分からない。
そんな思考をリセットして、亘は今目の前で起こる現実に目を向けた。(もしかしたら、なんていう幻想を捨てて)
…民家もまばらで、街灯なんて何十メートルに一本あるかないか。
少々大きな通りを車か何かが走らなければ、夜は光も差し込まない。
「…嫌だ!放して!放せッ!」
自分を壁に縫い付けた相手がどんな奴かもさっぱり分からない。けれどこのまま抵抗しないワケにもいかない。
拘束された両腕を必死によじって抗う亘。
相手は微動だにしない。一体どれだけの力があれば振りほどけるんだろう?
『落ち着け、落ち着けよ亘!』
ついに相手が口を開いた。
その声は…そう、つい5分程前まで一緒にいたアイツ。
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