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『―分かんない?…そうだよな、オレは、美鶴の"分身"だから』
分身―ダブル。
分かたれし魂。表と裏。光と影。
『分かるよな、亘。アイツには、幻界の記憶がない。あれはオレが、記憶を持ってるからなんだ』
…あの時、美鶴は自分の分身を倒してしまった。一方亘は分身を受け入れた。
"幻界"の記憶を持つ分身を受け入れたか、拒絶したか。
記憶の有無に関係するコトである。
「…ねえ、ミツル…アイツの、芦川の記憶は戻るの?」
ミツルは少しだけ黙った。そして口を開く。
『戻るには戻るさ。…でも、今のアイツには、オレの姿は認識出来ない。亘、アイツに、美鶴にある程度の記憶が戻らないと駄目なんだ…まあ、亘といれば少しは戻るハズだろ』
「ホントに!?」亘は目を輝かせる。
『…でもなぁ亘、―今の、オレじゃ―駄目か?』
…っ、え?
いきなり何を言い出すのだろう。
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