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ミツルは抱きしめる腕を解いて、そのまま。
―触れるだけの、キス。
「…な、」
「―ミタニ、オレはいなくなったりしないから…約束しよう、」
オレはいなくならない。
ミタニのそばにいてやる。
―だから、お前も。
ワタルはこくりと頷く。その反動で涙が一滴。
ミツルはもう一度、ワタルを抱きしめた。
―アシカワ。
…でも、ボク達は、消えなくちゃいけない存在なんだ。亘と美鶴と戦って、負けて、ひとつになる存在。
変えちゃいけない、変えられない、どんな力を以っても変えられない運命。
いつか分からない未来に別れるのなら、この色彩のない世界で終わりを告げるなら。
それまで、こうしていて…?
…約束を、した。
甘い、優しい口付けと共に。
感じられないハズの腕の温かさを感じながら。
―互いに、溺れながら。
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