もう一度その声で。

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こうなるコトくらい、僕だって分かっていた。 でも、きっと、もしかしたら― 願わずにはいられなかった。 間近で見た美鶴の―芦川の目に映った僕を、覚えているんじゃないかと。 「―あ、ご、めん。人間違い」 「…?そう、か」 首を傾げた芦川は、横で疑問符を浮かべるアヤちゃんの手を引いて行ってしまった。 本当はこの場で叫びたかった。 (人間違いなんかじゃない、僕の知ってる美鶴だ) 今はそれすら叶わない。 ただじっと、滲んだ世界を見ているコトしか出来なかった。
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